研究KEYWORD
細胞質分裂,細胞骨格タンパク質,画像解析,培養肝臓細胞,多倍数体細胞,リン酸化,情報伝達
研究分野
分子生物学,細胞生物学,構造生物化学,機能生物化学
主な研究テーマ
- PIDDosome 活性化から vimentin リン酸化へ至る情報伝達経路の解明
- 細胞分裂周期における vimentin の細胞内局在を経時的に明らかにする研究
- HSL細胞の多核化に関与するタンパク質をプロテオーム解析で網羅的に特定する研究
研究概要
代謝,解毒,血漿タンパク質の合成などを行う肝臓の大部分を占める肝細胞は,ヒトで50-60%ラットで80%以上が多倍数体である。デデューらは,ラットでインスリンが離乳期に肝細胞を急速に多倍数体化すると明らかにした。スラドキーらはPIDDosomeが肝細胞の倍数性を調節すること,過剰に倍数性を持つ肝細胞は肝細胞癌になりにくいことを明らかにした。このことは,肝細胞の倍数性を調節すれば肝細胞癌の予防に役立つ可能性を示している。
そのような薬剤の開発には,多倍数体化の直接の原因である細胞質分裂不全をおこすタンパク質が良い標的となる。私はラット肝臓幹様細胞を酪酸ナトリウムで処理して多核化し,二次元電気泳動と質量分析計を用いてプロテオーム解析を行った。同定したタンパク質の一つがビメンチンである。ビメンチンが収縮環でリン酸化されないと細胞が多核化する。PIDDosomeの活性化のあとビメンチンのリン酸化抑制までの情報伝達経路を明らかにしたい。ビメンチンをリン酸化するAurora B kinaseは分裂溝の位置決定の時期にも活性化されるので,ビメンチンの新たな役割を予想している。
提供できる技術・応用分野
比較二次元電気泳動法,プロテオミクス,蛍光顕微鏡観察,画像解析,細胞培養,タイムラプス観察簡易システム
主要な所属学会
日本生化学会,日本細胞生物学会,日本科学教育学会,日本化学会教育会員
代表的な論文 または 特許
- A novel partial agonist of GPBA reduces blood glucose level in a murine glucose tolerance test. Eur. J Pharmacol. 814, 130-137 (2017)
- 「3-ヒドロキシ酪酸がラット肝臓幹様細胞を多核化する」 第69回日本細胞生物学会大会 仙台 2017.6.18
- 「 肝臓由来細胞が多核化する細胞質分裂のポイントは複数存在する」 第72回日本細胞生物学会年会 京都 2020.6.9